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【測定機】AVHzY CT-3 レビュー|USBデバイス向け測定デバイス

スマホ・スマホ周辺機器 パソコン・周辺機器 2025/06/14

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AVHzY CT-3

増殖するUSB-CtoCケーブル

うちにもUSB-Cコネクタを採用したデバイスが増えてきました。デバイスが増えてくると「このUSB-Cケーブル、対応規格なんだっけ?」といった問題が出てくる。これUSB3.1?USB3.2Gen2?USB4?ALTモード対応の可否どうだっけ?充電何ワットまでだ?ややこしい規格にしやがって!と何度叫んだことか。

今回はそんな悩みをスパッと解決するUSBチェッカーの話。

両端USB-Cケーブルの見分けかた

でだ。どうやってケーブルの規格を見分けるかだが、大体のC to CケーブルにはeMarkerというケーブル情報が書き込まれたチップが搭載されている。これを読み取れる機器が必要。

この「eMarkerが読み取れるテスター」で評判が良いいのは、AVHzY CT-3。自分はアルミ筐体版を選んだ。基盤側面がむき出しになった通常版も開発ボード感があっていい。

通常版が9,500円程度。アルミ筐体版は10,000円程度で購入できます。(2025/05 /09時点)

USB-CオスタイプのC3(CT-3はUSB-Aオス)という仕様違いもある。ただC3は表示画面が小さいことや、まだまだUSB-A端子が現役であるから今回は見送った。

AVHzY CT-3ってなにができるのか?

機能盛りだくさんなので、細かい機能まで使えていませんが

  • 電圧/電流/電力の計測・電力の積算と接続時間
  • 電源アダプタ(ACアダプタ)の急速充電/充電規格検出
  • 急速充電のトリガー機能
  • eMarkerの読み取り
  • ケーブル抵抗測定(要オプション)
  • 電源リップル波形の測定
  • パソコン接続してPDパケットキャプチャや電圧/電流/電力ロギング

大きく分けるとこんな感じです。ケーブルの断線検出には使えません。

自分はもっぱらeMarkerの読み取りと充電規格検出を使っています。デバイスを充電できないときの切り分けにも。

そういえばこの製品、Youtuberのさいちょうさんが「最強充電器決定戦」で計測機器として紹介されてましたね。あの検証結構ガチ目でしたねえ、製品評価レポート並みですよ。

話が脱線しました。では使用感とか解説していきます。

操作について

右上にマルチキーがついています。左右に倒すと選択・真ん中を押すと決定です。

左に倒すと各種検測項目の選択画面へ

右に倒すとオプションの負荷モジュールを管理する画面になります。

メイン画面で真ん中を押しっぱにすると個人・測定設定画面へ入れます。

メイン画面

AVHzY CT-3メイン画面1
AVHzY CT-3メイン画面2
AVHzY CT-3メイン画面3

USBテスターの基本機能です。スイッチを1回押すと画面が切り替わります。

自分は真ん中の電圧/電流/電力だけ表示されるのが好みです。

電源アダプタ(ACアダプタ)の急速充電/充電規格検出

実験対象はELECOMのEC-AC4365 65Wアダプタ。
結果は以下の通り。仕様通りPD3.0と拡張のPPSに対応しています。

AVHzY CT-3急速充電リスト画面

急速充電のトリガー機能

急速充電に対応しているのはわかったけど、実際に引き出すとどうなるの?という検証に使う機能です。自分はあまり使いません。

急速充電のトリガーをする場合、USB-Cと検出する電源アダプタのみ接続して他のUSBポートから電源供給しないでください。エラーが出て検出できません。

ELECOMのEC-AC4365をPD3.0で呼び出すと、対応電圧が一覧表示されます。ここからFixedまたはPPSを選ぶと測定開始。

AVHzY CT-3急速充電トリガー画面

eMarkerの読み取り

購入理由の大本命。
この機能を使う場合、電源を別に取る必要があります。USB-Aかパソコン接続用のMicroUSBから電源供給してください。

※USB-Cから電源供給できません。USB-Cから供給してeMarkerを読み取ろうとすると、電源が落ちます。

今回は、手元にある以下のケーブルでeMarker読み取りテストをします。

表示の読み方

AVHzY CT-3eMarker読み出し画面
なんか色々情報が載っていますが、おそらく皆さんが使うのは黄色の文字で書いた場所だけになると思います。以下解説です。

上4つのVDOについて解説

  • USB PD ID Header VDO:ケーブルのメーカー・種類・仕様をまとめて返しています。
  • Cert Stat VDO:USB‑IF 認証情報が載ってます。
  • Product VDO:製品固有情報です。ケーブルレイテンシーやUSB SuperSpeed Supportの情報などを機器に返します。
  • Cable VDO:ケーブル固有の物理仕様や機能をまとめています。ALTモード対応など。

32bitの生の値で返してくるので、ChatGPTに調べてもらいましょう。

パッシブ/アクティブ表示:ケーブル種類がパッシブかアクティブかを示す。

  • パッシブケーブル:データをそのまま機器へ渡すケーブル。
  • アクティブケーブル:データ増幅器の入ったケーブル。対応規格以外使用できないことが多い。

1mくらいだとほぼパッシブケーブルです。アクティブケーブルなんて、よっぽどノイズの多い場所か超高速でデータ転送をするケーブルでないと出番ありません。

ベンダー表示:製造者IDです。これもbit表示で返ってきてるので、https://www.the-sz.com/products/usbid/「0x[表示された英数字]」を入力して検索すると、製造元かわかります。最後のHは「hex」であることを意味していて、16進数表示であることを示しています。

他メーカーだと製造者ID一覧をテキストで持っていて、テキスト情報にしてくれたりするんですが、AVHzY CT-3ではbit表示のままです。

50 V @ 5 A USB4.0 Gen3 EPR ~1 m:最大電流/電圧値とUSBのバージョン・ケーブル長さを示しています。今回の場合50V @5Aなので240Wケーブル・USB4 Enhanced Performance 1m以下というケーブルです。

長いですがこんな感じです。これはeMarkerの情報を読み出しただけなので、実際にケーブルが対応しているかは別問題ですが…

オウルテック(OEC-CBEMCC10-BK)での表示

AVHzY CT-3eMarkerオウルテックケーブル読み出し画面

オウルテックの場合、ALTにTBT4と出ているので、ThunderBolt4としても使えるケーブルというのがわかります。ベンダーIDを検索した結果が以下のとおり。

USBケーブルベンダーID検索

オウルテックで登録されてます。

ANKERの表示

AVHzY CT-3eMarkerANKER読み出し画面

ANKERのALTにはなしと出ています。USB4のみ対応しているケーブルだとわかります。ベンダーIDを検索した結果が以下のとおり。

USBケーブルベンダーID検索

こちらもANKERで登録されています。

というか両方とも販売ページでUSB-IF正規認証を謳っているので、出てこないと困るんですが。

ファームウェアアップデート

まとめ

今回も誰得記事でした。これでUSBケーブルが混ざってもeMarkerで判別できます。

このような測定デバイスは無くても困りませんが、あると余計な出費が減ったり、デバイスがどんな挙動を示すのかわかる便利な製品です。非常に癖のある使用感なので、使いこなすのには時間がかかりそうです。覚悟して購入してください。