増殖するUSB-CtoCケーブル
うちにもUSB-Cコネクタを採用したデバイスが増えてきました。デバイスが増えてくると「このUSB-Cケーブル、対応規格なんだっけ?」といった問題が出てくる。これUSB3.1?USB3.2Gen2?USB4?ALTモード対応の可否どうだっけ?充電何ワットまでだ?ややこしい規格にしやがって!と何度叫んだことか。
今回はそんな悩みをスパッと解決するUSBチェッカーの話。
両端USB-Cケーブルの見分けかた
でだ。どうやってケーブルの規格を見分けるかだが、大体のC to CケーブルにはeMarkerというケーブル情報が書き込まれたチップが搭載されている。これを読み取れる機器が必要。
この「eMarkerが読み取れるテスター」で評判が良いいのは、AVHzY CT-3。自分はアルミ筐体版を選んだ。基盤側面がむき出しになった通常版も開発ボード感があっていい。
通常版が9,500円程度。アルミ筐体版は10,000円程度で購入できます。(2025/05 /09時点)
USB-CオスタイプのC3(CT-3はUSB-Aオス)という仕様違いもある。ただC3は表示画面が小さいことや、まだまだUSB-A端子が現役であるから今回は見送った。
AVHzY CT-3ってなにができるのか?
機能盛りだくさんなので、細かい機能まで使えていませんが
- 電圧/電流/電力の計測・電力の積算と接続時間
- 電源アダプタ(ACアダプタ)の急速充電/充電規格検出
- 急速充電のトリガー機能
- eMarkerの読み取り
- ケーブル抵抗測定(要オプション)
- 電源リップル波形の測定
- パソコン接続してPDパケットキャプチャや電圧/電流/電力ロギング
大きく分けるとこんな感じです。ケーブルの断線検出には使えません。
自分はもっぱらeMarkerの読み取りと充電規格検出を使っています。デバイスを充電できないときの切り分けにも。
そういえばこの製品、Youtuberのさいちょうさんが「最強充電器決定戦」で計測機器として紹介されてましたね。あの検証結構ガチ目でしたねえ、製品評価レポート並みですよ。
話が脱線しました。では使用感とか解説していきます。
操作について
右上にマルチキーがついています。左右に倒すと選択・真ん中を押すと決定です。
左に倒すと各種検測項目の選択画面へ
右に倒すとオプションの負荷モジュールを管理する画面になります。
メイン画面で真ん中を押しっぱにすると個人・測定設定画面へ入れます。
メイン画面
USBテスターの基本機能です。スイッチを1回押すと画面が切り替わります。
自分は真ん中の電圧/電流/電力だけ表示されるのが好みです。
電源アダプタ(ACアダプタ)の急速充電/充電規格検出
実験対象はELECOMのEC-AC4365 65Wアダプタ。
結果は以下の通り。仕様通りPD3.0と拡張のPPSに対応しています。
急速充電のトリガー機能
急速充電に対応しているのはわかったけど、実際に引き出すとどうなるの?という検証に使う機能です。自分はあまり使いません。
急速充電のトリガーをする場合、USB-Cと検出する電源アダプタのみ接続して他のUSBポートから電源供給しないでください。エラーが出て検出できません。
ELECOMのEC-AC4365をPD3.0で呼び出すと、対応電圧が一覧表示されます。ここからFixedまたはPPSを選ぶと測定開始。
eMarkerの読み取り
購入理由の大本命。
この機能を使う場合、電源を別に取る必要があります。USB-Aかパソコン接続用のMicroUSBから電源供給してください。
※USB-Cから電源供給できません。USB-Cから供給してeMarkerを読み取ろうとすると、電源が落ちます。
今回は、手元にある以下のケーブルでeMarker読み取りテストをします。
表示の読み方
上4つのVDOについて解説
- USB PD ID Header VDO:ケーブルのメーカー・種類・仕様をまとめて返しています。
- Cert Stat VDO:USB‑IF 認証情報が載ってます。
- Product VDO:製品固有情報です。ケーブルレイテンシーやUSB SuperSpeed Supportの情報などを機器に返します。
- Cable VDO:ケーブル固有の物理仕様や機能をまとめています。ALTモード対応など。
32bitの生の値で返してくるので、ChatGPTに調べてもらいましょう。
パッシブ/アクティブ表示:ケーブル種類がパッシブかアクティブかを示す。
- パッシブケーブル:データをそのまま機器へ渡すケーブル。
- アクティブケーブル:データ増幅器の入ったケーブル。対応規格以外使用できないことが多い。
1mくらいだとほぼパッシブケーブルです。アクティブケーブルなんて、よっぽどノイズの多い場所か超高速でデータ転送をするケーブルでないと出番ありません。
ベンダー表示:製造者IDです。これもbit表示で返ってきてるので、https://www.the-sz.com/products/usbid/で「0x[表示された英数字]」を入力して検索すると、製造元かわかります。最後のHは「hex」であることを意味していて、16進数表示であることを示しています。
他メーカーだと製造者ID一覧をテキストで持っていて、テキスト情報にしてくれたりするんですが、AVHzY CT-3ではbit表示のままです。
50 V @ 5 A USB4.0 Gen3 EPR ~1 m:最大電流/電圧値とUSBのバージョン・ケーブル長さを示しています。今回の場合50V @5Aなので240Wケーブル・USB4 Enhanced Performance 1m以下というケーブルです。
長いですがこんな感じです。これはeMarkerの情報を読み出しただけなので、実際にケーブルが対応しているかは別問題ですが…
オウルテック(OEC-CBEMCC10-BK)での表示
オウルテックの場合、ALTにTBT4と出ているので、ThunderBolt4としても使えるケーブルというのがわかります。ベンダーIDを検索した結果が以下のとおり。
オウルテックで登録されてます。
ANKERの表示
ANKERのALTにはなしと出ています。USB4のみ対応しているケーブルだとわかります。ベンダーIDを検索した結果が以下のとおり。
こちらもANKERで登録されています。
というか両方とも販売ページでUSB-IF正規認証を謳っているので、出てこないと困るんですが。
ファームウェアアップデート
まとめ
今回も誰得記事でした。これでUSBケーブルが混ざってもeMarkerで判別できます。
このような測定デバイスは無くても困りませんが、あると余計な出費が減ったり、デバイスがどんな挙動を示すのかわかる便利な製品です。非常に癖のある使用感なので、使いこなすのには時間がかかりそうです。覚悟して購入してください。
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